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これからのオフィスに必要なのは「対話を生む場」。—ヒューマンリンク株式会社【ほんのれん導入事例 no.3】

企業の「もう一つの人事部」をモットーに掲げ、人事の様々な課題解決サービスを提供するヒューマンリンク株式会社。「人材開発事業」「人事制度・労務コンサルティング事業」「グローバル人事ソリューション事業」の3事業を柱に、三菱商事100%出資会社として、三菱商事グループをはじめ幅広い業種の企業をサポートしています。

 

ヒューマンリンク株式会社は、ポストコロナのオフィス活用を見据え、2023年4月より「ほんのれん」を導入。東京・丸の内の本社オープンスペース「HLC cafe」の中央に、ほんのれん棚が設置されています。導入の背景や活用方法などについてお話を伺いました。

ほんのれん公式サイト

 

[お話を伺った方]

代表取締役社長 濱 健一郎さん(写真中央)
コーポレート本部 企画・管理部 寺田 可奈子さん(右):社内の人事業務全般の統括リーダー
コーポレート本部 企画・管理部 渡邉 莉央さん(左):採用・研修担当。社員の育成施策に携わる

 

 

コロナ後、オフィスの再定義が必要に

—ヒューマンリンクは、2023年4月に「ほんのれん」がサービスをリリースしてすぐ導入された、第一号の法人企業です。まずは導入の経緯を教えてください。

 

濱さん:コロナ禍で、オフィスの再定義が必要になりました。

 

この場所(オープンスペース「HLC cafe」)は、2021年度に社員同士のコミュニケーションやお客様との打合せにも使えるようなマルチスペースとして設けた場所です。コロナ禍でリモートワークも働き方の選択肢になっていった中で、「そもそもオフィスに出社する意味とは何だろう?」という問いが生まれました。

 

リモートワークと出社勤務を併用して働く社員が増える中、コロナ以前のオフィスで偶然生まれていた社員同士の対話や交流を、より生まれやすくする機能が、必要だろうと考えたのです。

 

 

—社員同士の対話や交流を促すオフィス機能を求められていたのですね。「ほんのれん」を選んだポイントはどこにありますか。

 

濱さん:人と人が交流するときには「媒介」するものがあるとスムーズですが、「本」はその最適ツールだと思います。

 

この場所では、社内コミュニケーションが活性化するための仕掛けをいろいろ試しています。例えば先日、非常に暑かった日には、社員にアイスがふるまわれました。部署にもよりますが、現在の出社率は約50%くらいですので、なかなか直接会うことのない社員同士が知り合う機会にもなりました。このように「食」は交流の媒介として強力なツールの一つですが、よりお互いの関心事やメッセージをのせて交わし合えるツールとして「本」に期待しています。

 

実はもともと社内に100冊ほどの貸出自由の書棚があるので、社員も受け入れやすい土壌がありました。ただし実用書が多く、「ほんのれん」のように、例えば『はたらく細胞』といった漫画も含めて、パッと手に取りやすい本も混ざったリベラルアーツ型の書籍はありませんでした。業務内容に留まらず、社員一人ひとりの関心や好奇心が動いて手に取ってもらえるラインナップが、とても良いです。

 


濱さんが「百考本」から真っ先に選んだ本は、デビッドグレーバー著『ブルシット・ジョブ』。「グローバル資本主義が吹き荒れる中で、日本企業の働き方や組織の根本的なあり方を社員と問い直したい」。

 

本の貸し借りを通じて、交流が生まる

—導入後の運営にあたって工夫されたことはありますか。

 

寺田さん:本は実用書棚と同様に貸出OKにしています。イントラ上で表管理しているのですが、貸出や返却のときに一言感想を寄せる文化が元々あったんですね。ほんのれんを導入してからも、「この本がよかった」とおすすめしてくれる社員も複数人いて。「◯◯さんがおすすめしてくれたので借ります」というやりとりも見受けられるようになりました。

 

弊社はそっと借りていく社員が多いですが、貸し借りを通じてちょっとした交流が生まれています。まさに「ほんのれん」が目指す姿として掲げている、本を媒体とした雑談や越境が起こり始めています。

 

渡邉さん:まずは本の貸し出しやレコメンドから場が動き始めていると実感していますが、百考本カタログと旬感ノートは棚の上に平積みにして、誰でも持ち帰っていいようにしています。

 

本を読まずとも、問いと共読ツールだけでも学びや対話が起こせるのが「ほんのれん」のサービスとして新しいところだなと思います。棚の上に「ご自由にどうぞ」のポップも作りました。百考本カタログは、1冊ずつの要点に加えて、どんな本が棚にあるか網羅できるので、補充するそばから減っていきますね。

 

ほんのれん導入企業には「百考本カタログ」の冊子100部と、PDFデータを提供。

 

—ぜひ今後も、ほんのれんクロスに書き込みをしたり、様々なポップを置いたりして、ほんのれん棚を独自にアレンジしてください。社員の皆さんには、どんな本が人気ですか。

 

寺田さん:漫画『風の谷のナウシカ』はずっと人気ですね。人事の会社なので、『働かないアリに意義がある』など、百考本の9つのテーマの中では「3:好きを仕事にというけれど」からの貸出申請が多いです。

 

 

渡邉さん「ほんのれん棚のテーブルは、囲んで対面で雑談するのに良い距離感です」。寺田さん「たまたま手に取ったこの本。パラパラめくっただけですが、環境問題を考えるという問いがあるからか、不思議と持ち帰って読みたくなります」。

 

経営メッセージの発信にも活用したい

—人気の本にも会社の「らしさ」が現れそうですね。今後やってみたい活用方法などありますか。

 

濱さん:本にあやかって、社員と課題意識の共有ができないかと思っています。

 

本はそれ自体がメッセージのつまったメディアです。ここには百考本のラインナップが体系的に揃っていて、毎月旬な問いと5冊も届けられるので、都度の経営課題や社員一人ひとりが注目したいトピックと関連する本が必ず見つかります。

 

そこでまずは、私から社員の皆さんに紹介したい1冊を、考えてもらいたい問いと共に展示したいと思っています。経営者自らが、経営の新たな方針や課題を社内でシェアする際に、言葉を尽くす以上に本に語らせたほうが、伝わりやすいことがあるのではないかと思っています。本に触れた社員と交わし合いができたら、なお良いですね。

 

寺田さん:「濱社長の旬な問いと1冊」のように定期的にお薦めメッセージを添えてディスプレイしてもいいかもしれませんね。ぜひやりましょう。セットで入社1年目の社員のお薦めが横に並んでいたりしても面白そうです。

 

渡邉さん:少しずつ、本を使った社内イベントも企画したいなと思っています。グループ会社や社外に向けた研修もこの場で行っているので、登壇講師の著作や関連するほんのれんの書籍を展示すると、予習や復習もできますし、手に取る方も増えそうです。そういった社員が気軽にほんのれんに触れる仕掛けを考えていきたいです。

 

「言い出しっぺの僕からまずやらないとね」と取材の場で「濱社長の旬な問いと1冊」の企画が決定。新しい社内コミュニケーションが生まれていきそうです。

「言い出しっぺの僕からまずやらないとね」と取材の場で「濱社長の旬な問いと1冊」の企画が決定。新しい社内コミュニケーションが生まれていきそうです。

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