Season 2   第6講

メディアと市場と私のAIDA

2022.3.5

 Season2の最終講。松岡座長、ボードメンバー、座衆が本楼に集結し、半年間にわたる講義を振り返る。座衆はこの日に向け [AIDA]Season2の体験を振り返った3000字のレポート「間論(まろん)」を書きあげた。直前の224日にはじまったロシアのウクライナ侵攻の話を交えつつ、「メディアと市場」の可能性を探っていく。

ウンベルト・エーコはこう言った、
「世界中のどんな現象にも共通しているのは、ただひとつ、情報である」と。
本書はそこをもう一度問い直すものである。

監修:松岡正剛/構成:編集工学研究所&イシス編集学校『情報の歴史 21

 エチオピアの市場(いちば)からビッグテックによる監視資本主義まで、メディアと市場のAIDAに目を凝らしてきたシーズン2の、いよいよクライマックスである。

 経済はどこから発生してきたか、資本主義のその先に何があるのか、メディアは何を媒介し、市場は何を交換してきたのか。あまりに身近でありながら、紐解こうとすればその姿を見失う「メディア」と「市場」、そしてそのあいだ。「肝要なのは、すべてを“情報”として見ること」、第1講で投げられた松岡座長の言葉が、最後に来てすべての辻褄を縫い合わせていく。

 30名の座衆はそれぞれの「間論」を足場にしながら、再び本楼に勢揃いしたAIDAボードと松岡座長、そして座衆同士の議論を通して、情報としての「メディアと市場のAIDA」、そのスコープをめぐる社会像の編集に挑んでいく。

 
 
●プログラム
13:30〜 オープニング フラッグメッセージ
13:40〜 間論セッション+ボードセッション前半(ダイジェスト映像)
15:40〜 組間議+ボードセッション後半(ダイジェスト映像)
17:20〜 座長・ボード 最終セッション
19:00~ 松岡座長シーズン2締め

シーズン2 第6講フォトレポート

間論セッション

最終講はボードメンバーの大澤真幸、佐藤優、武邑光裕、田中優子、山本貴光、村井純も集合。

 

編集工学研究所の安藤と吉村が間論セッションを進行

「メディアと市場のAIDA」をめぐる中で何を感じ、これから何を目指していきたいのか。最終講に向け、座衆は13000字程度で「間論」を執筆した。間論セッションでは、安藤と吉村が、それぞれのレポートに切り込みながら座衆の思いを場にひらかせる。

 

ボードセッション前半

ボードセッションは5講までの講義動画を見ながら議論を交わす。多様なアメリカを議論をした第5を振り返った上で、直前に起きたロシアのウクライナ侵略について語る佐藤優氏。

「アメリカはいまも世界の警察官のつもりだが、実際はもう終わりかけているのではないか。ロシアは基本的にはヨーロッパを見ていない、その奥にいるアメリカを見ている」。佐藤氏は、ロシアが自らをビザンティン帝国の後継として帝国を取り戻そうとしていると語る。 

ロシアの戦争と、ルーマンの社会システム論についての第4講を振り返り、山本貴光氏はナラティビティについて言及した。

 「ロシアは大きいものを目指しているが、システムが巨大化するにつれ、維持がむずかしくなる。ルーマンが説いた通り、明晰な命令を積み重ねたつもりが、意外なことが起きてくる。そんな時、私たちはその因果関係を、ナラティブ(物語)にしてしまう。今の戦争もナラティブの戦争だし、今の時代は個人がインターネットで自分のナラティブを説明している」。

 

組間議

組間議では座衆が4,5人のグループに分かれてこれまでの議論を交わし合う。

 

ボードセッション後半

文化人類学者の松村圭一郎氏と小川さやか氏を招いた第2講の振り返りから、武邑光裕氏は、日本やアフリカとは全く違う、西洋の「個」「自由」の捉え方に言及。

日本は最初から公益的であり、という意識が薄い。しかしヨーロッパはまずがある。個人に、自由・平等・友愛がある。かつては、自由は精神、友愛は経済、平等は政治という風に3つでバランスしていたが、自由が経済も政治も侵食してきた。自由が格差をつくってしまった。ハイエクの新自由主義。いま、自由を考え直す機運がある」。

田中優子氏は、日本における公私の考え方を説く。

「日本の連は公私のどちらとも違う。公から逃げ出したところに連があるんです。私する(わたくしする=私有化する)という言葉がありますが、それがないと連が成り立たない。だいたい、公と私しかないなんていう考え自体が、おかしいでしょう。個人と公が強く線引きされたのは日本国憲法ができたとき。ごく近代の考え方です」。

公私について、インターネットの視点から論じる村井純氏。

インターネットの構成では、地球と個人しかない。公私でいうと、公は国でしょうが、インターネットには国がなく、プラネットと個人のみです。そう考えると、地球という概念はものすごく大事です。グローバルパンデミックがあったこの2年は、公の中での個人と、地球の中での個人という、2つの考え方が合わさってきた」。

 

 座長・ボード 最終セッション

最終セッションで大澤真幸氏は「正解はないけど、正しい問いはある」と、問いの重要性を強調。

 「さきほど、結局正解はないと発言された方がいましたね。本当にそうです。ただ、正解はないけど、正しい問いはある。問題なのは、問いがないことです。ここに来てみなさんが学ばなきゃいけないのは、何を問わなきゃいけなかいかに気付くことだと、思うんですよね。正解がないからといって考えないようになってはいけない」。

半年間にわたるシーズン2「メディアと市場のAIDA」のラスト。松岡正剛座長から、締めくくりとして「大いなる公私混同」を目指してほしいという檄が飛んだ。

DOMMUNEでやった第3講では、自分をメディア化して配信してもらいましたね。先ほどから公私の話が出てましたが、公私混同というのが私のメソッドでもあります。鈴木大拙は分けて分けないと言っているんですが、インディビジュアルに分けたものが分けられてないものと共栄関係になり、ホロニックに鏡に映し合い、個はそれぞれの地球になる。たくさんの地球というような哲学が必要であると思います。座衆の諸君はほとんどがコンプライアンスを遵守すべき企業人ですが、今後、大いなる公私混同を期待したいと思います」。

 

 

 

◀︎ 第5講 「メディアと市場とデジタルと」 

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