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「企業と人材」5月号に編集工学研究所・安藤が寄稿しました

産労総合研究所が発行する「企業と人材」2021年5月号に、弊社専務取締役の安藤昭子が寄稿しました。「『個』が際立つ時代の新しい学び(後編) 探究型読書[組織編]— 本を媒介に組織の力を引き出す」と題し、「共創型組織」をつくる上で重要となる「個の探究力」と「組織の共創力」を底上げしていくためのツールとして、どのように「本」が活用できるかを紹介しました。本記事では、寄稿記事の要点をご紹介します(寄稿記事の全文は、「企業と人材」2021年5月号でご覧ください)。

 

企業と人材 2021年5月号の公式サイトはこちら

 

 

 

自律的で相互編集的な「共創型組織」

道なき道を行かなければならない時代に力を発揮する組織とは、個々の社員が自律的かつ相互編集的に活躍する「共創型の組織」です。「共創型組織」を実現するには、良質な対話を媒介とした社員間の関係性の構築が不可欠です。そして、こういったコミュニケーションの構築においては「本」が非常に有効なツールとなるのです。

 

 

「共創型組織」を実現するための要件

「共創型組織」は、

 

(1)心理的安全性を担保した状態で深く発展的な対話をすることによって、

(2)組織内での「関係の質」がよい方向へと変わり

(3)個々の思考や行動に影響を及ぼすことで、

 

つくられていきます。

 

このサイクルの端緒となる「深く発展的な対話」が起こっていくためには、以下の状態が要件として想定されます。

 

1. 自己開示と受容の場:自分の考えを率直に話せること、十分に受容されること

 

2. 場における自己効力感:自分が場に受け入れられていることを前提にしながら、自分が場に提供している価値を実感すること

 

3. 目的の共有:なんのために対話をしているのか、また何に向かって思考しているのかという目的を共有していること

 

 

「個の探究力」と「組織の共創力」を同時に底上げする

前述の諸要件を見て分かることは、「共創型組織」を実現するためには「個の探究力」と「組織の共創力」を同時に底上げする必要があるということです。そして、そのためのキラーツールとなるのが「本」です。本は以下に示す5つの理由から対話をスムーズにし、個々の思考力を引き上げる力を持ちます。

 

 

共創型組織開発プログラム「Quest Link」

編集工学研究所では、対話の力を組織開発に応用するプログラム「Quest Link(クエストリンク)」を提供しています。コアメソッドである「探究型読書」で参加者の創造的な対話を誘発し、思索を深めながら、場と組織の力を引き出していきます。

 

「Quest Link」は基本的には4人1組を1チームとしてセッションを行います。セッションメンバーそれぞれが異なる本を「探究型読書」を活用しながら3時間ほどの時間をかけて読みます。各セッションではディスカッションテーマが設定され、そのテーマに関連する4冊の新書が選書されます(セッションメンバーは、その4冊の中から1冊を選びます)。セッションは以下のような流れで進みます。

 

 

「Quest Link」の運用においては、一連のセッションをモデレートする「Questlinker(クエストリンカー)」を組織内で養成することを推奨しています。編集工学研究所では「クエストリンカー養成講座」を随時開催しています。

 

 

「個人」の変化が「場」の変化につながる

「Quest Link」は「自分」「関係性」「場」に変容を引き起こします。

 

1. 「自分」が変わる
本の知見を借りて思考を深めることで、視界が一気に広がることがあります。その中で「世界と自分はつながっている」という感覚をつかむと、さまざまな課題が自分ごとになっていきます。

 

2. 「関係性」が変わる
「生身の」自分の意見としては表現しきれないことも、本を媒介にしながら周囲と意見を交換することで、日常の人間関係を超えた深い対話に素早く入っていくことができます。その体験を経ることで、無意識に設置されていた心理的なバリアが柔らかくほぐれていきます。

 

3. 「場」が変わる
対話を重ねていく中で、部分(個)の総和を超えた場の力が創発されていきます。

 

 

本を活用した「新しい学び」

慣れ親しんだ「自分のイマジネーション」に頼っていては、個だけではなく、組織もなかなか変わっていきません。そこで編集工学研究所では思索や対話の媒介として本を活用した「新しい学び方」を提案してきました。

 

本の中にある「知」を使って自らの枠組みを越え、本を媒介に他者と交わることで組織の体質を変容させていくーー。安全な環境を本の力を活用して担保しながら、バーチャルな冒険とちょっとしたリスクテイクを組織の中に起こしていくことが、道なき道を行く時代の個と組織には有効なのではないかとわたしたちは考えています。

 

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