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[トピックス] 2014年2月4日
[レポート] 松岡正剛「人生七十暴走古来稀」レポート
◉松岡正剛「古稀暴走」を祝う会、開催

2014年1月24日(金)松岡正剛の古稀を記念して、祝賀イベントを開催いたしました。題して「人生七十暴走古来稀」。松岡が30代のころに「70になったら暴走族になる」と宣言していたことを受けて、15人の発起人の方々、演出家の藤本晴美さん率いるチーム、スペースエディターの東亨さん率いる東組、緒方慎一郎さん率いるSIMPLICITYさんと松岡正剛事務所・編集工学研究所のスタッフが協同しました。前代未聞の暴走イベントの一夜をレポートいたします。

ロゴデザイン:美柑和俊

◉特別のしつらえでおもてなし

会場は世田谷赤堤にあるゴートクジISIS館1階の本楼。この日のために特別の会場にしつらえ。

世田谷・赤堤通りに面した「ゴートクジISIS館」。
玄月のれんでお出迎え。

イベントごとに表情を変える白木の玄関口「井寸房」
の書架には暴走バイクが鎮座。
いずれも藤本晴美さんのコレクション。

当日は「古稀暴走」の報を聞いた方々が日本中から駆けつけました。
写真中央はいとうせいこうさん。
編集工学研究所の木村久美子・渡辺文子がハレ着でお出迎え。

ブックサロンスペース「本楼」は200人以上の来場者でおおにぎわい。

天井には「雲」(天蓋)を設置。写真家の横須賀功光さんの作品「時間の庭」のまわりに、高千穂神楽をもどいた切り紙をあしらったもの。横須賀さんのご子息であり、東組のメンバーでもある横須賀安理さんの協力で実現。

天井には仮設の「雲」が登場

多くのお客様を迎え入れるために、屋外に東組が新たな空間をしつらえ、「仮方丈」(かりほうじょう)と命名。ここでは、和装草履屋の老舗「祇園・ない藤」の5代目当主・内藤誠治さんが日本酒を振る舞います。

「仮方丈」で伏見の樽酒をふるまう内藤さん。

◉いよいよ開演 〜福原義春さんの祝辞から〜

司会進行は松岡正剛事務所の太田香保がつとめ、松岡の70年間の人生を写真や引用を交えながら、案内しました。

 

松岡正剛事務所の太田香保

開演のご挨拶は資生堂名誉会長の福原義春さんから。
「今まで松岡さんは暴走に暴走を重ねてきましたが、ぜひあと70年間は暴走していただきたい」。

福原義春さんによる祝辞

乾杯のご挨拶は、以前から資生堂のミネルヴァ塾などで松岡とイベントや講義を共にしてきた、いとうせいこうさん。
「松岡さんが病気になったとき、ぼくと噺家の柳家花緑は枕元に呼ばれまして、ぽつぽつと話す松岡さんの話をじーと聞いていた。釈迦の涅槃図にすごい似てるんですよね」と意外なエピソードを明かします。
「その時を経て松岡さんが不死身になった。フェニックスになってこの世に暴走している。しかも今日は前夜祭だから69歳、逆にロックじゃないですか」。
蘇った松岡の暴走を祝して乾杯の音頭をいただきました。

いとうせいこうさんによる乾杯の音頭

この日の料理は緒方慎一郎さん率いるSIMPLICITYさんによる特別メニュー。サラダ煎餅カナッペや柚子胡椒風味の鶏肉、鍋いっぱいのおでんなど、すべて松岡好みの食材と味付けです。

長さ6メートルの巨大なテーブル「ブビンガ」に敷き詰められる料理。

 

バーカウンターではイシス編集学校の導匠・大川雅生と編集工学研究所のデザイナー富山庄太郎がバーテンダーを務めました。

◉お祝いの言葉 〜パート1〜

会の中では、駆けつけてくださった松岡の知人・友人の方々からお祝いのお言葉をいただきました。

美輪明宏さんは、20年以上前に松岡を紹介してくれたワダエミさんを壇上に招き、夢のツーショットが実現しました。
「エミー賞を頂いたときに、小さなレストランでお祝い会をやりました。その時に美輪さんと話が合いそうな人は松岡さんしかいないということでお引き合わせ致しました」と当時のことを語ります。
「やっぱり私たちはやりたいこと、言いたいことをきっちり言っていかないといけないと思います。本当に今の日本は情けない」
ワダエミさんからは、いまの日本を憂う気持ちと松岡への期待の込められたメッセージをいただきました。

美輪明宏さんとワダエミさん

美輪明宏さんは、松岡の美意識・美的感覚の鋭さに言及しながら、これからの日本には美しいものへの目利きが必要であることを語りました。
「松岡さんと最初に会った時にまず思ったことは、顔もハンサムなんですけど、声がハンサムなんです。そして何より審美眼。これがすごいんですよね。松岡さんは日本人が日本人たる所以の塊ですので、ぜひ大事にしましょう」。

久しぶりに松岡と語らう美輪明宏さん

続いては、今日の祝宴のために、松岡の着物をご用意してくださった江木良彦さんです。数々の映画やCMなどで着物コーディネートに50年以上携わってきた江木さんからは、「ますますお元気にぼくらを引っ張っていっていただきたいです」。

着物コーディネーターの江木良彦さん

美術家のミヤケマイさんのご挨拶は、高校生の時に友人から松岡の著作を紹介されたときの話から始まりました。
「松岡さんの本を初めて読んだ時に、自分と何か繋がっている、自分の声が聞こえるような感じがしたんです。すごく面白かった」
その後、松岡がプロデュースしたギャラリー「冊」で松岡の蔵書とミヤケさんの作品とのコラボレーションが実現した話を振り返ってくださいました。

現代の浮世絵師と松岡が評するミヤケマイさん

モバイル事業会社サイバードの社長・堀主知ロバートさんは、松岡への憧れを語りました。
「松岡さんとお会いして、自分の憧れをすべてお持ちの方だと思いました。松岡さんの弟子にしてください!と言って以来、今ではスマホゲームを一緒に作らせて頂いています」。

現在、編集工学研究所とサイバードの共同で制作中のスマートフォンゲーム「NAZO」を紹介いただきました(2014年春に発売予定)。

 

サイバードの社長・堀主知ロバートさん

◉松岡正剛×田中優子さんと高山宏さん

歓談の間には、松岡の「知の生い立ち」を紹介しながら、田中優子さんと高山宏さんがそれぞれインタビュアーとして松岡の過去に迫りました。

「『たけくらべ』をはじめ、物語の登場人物に恋をされてたんですか?」との田中優子さんの質問に対して、松岡は「最初はのんちゃん、『青い花』の主人公や雪の女王に恋をしていましたね」と幼き頃の秘められた恋バナを語りました。

春から法政大学の総長に就任する田中優子さん

高山宏さんは「松岡さんはご自身をマガジン的に思考するマガジニストだと思いますか?」と質問。「確かにその要素はありますね。新聞部から始まり、雑誌も多くやってきましたからね。それとコンテンツだけじゃなくて、その乗り物にも興味がある。どんな箱にコンテンツが入るのかをずっとやってきたよね」。
メディア論から、何時間も続くような語源談義を超圧縮してお話しくださいました。

夜な夜な電話で松岡と語源談義に耽るという高山宏さん

◉ぞくぞくサプライズ

松岡が校長を務めるイシス編集学校からは編集コーチである師範代からお祝いメッセージが届けられました。200名を超える師範代からのメッセージ集に松岡も驚き、歓びを隠せない様子でした。また、和歌や定型詩などを学ぶ「風韻講座」からは短歌集が贈られ、さらなるサプライズとなりました。

イシス編集学校の師範代を代表して森美樹さんが登壇

イシス編集学校の「風韻講座」師範・小池純代さん

さらに、お料理をご用意いただいた緒方慎一郎さんとSIMPLICITYさんからは、松岡の顔を象った巨大な生菓子と落雁をいただきました。社内でコンテストを行って、グランプリの似顔絵を型にしたそうです。

松岡顔の巨大生菓子。その周りにも松岡の顔の形の落雁が敷き詰められています。右はSIMPLICITYの桑田さんと乙部さん。

◉お祝いの言葉 〜パート2〜

続いては、歌人の岡野弘彦さん、社会学者の大澤真幸さん、そして女優の白石加代子さんのご登壇です。各界から松岡へのお祝いメッセージが寄せられました。

岡野弘彦さんからは、
「松岡さんは折口信夫のことを非常に緻密に見事なかたちで理解して、世の中に折につけて紹介してくださる。それを私は非常に嬉しく思います」と語り、今後も元気に活躍して欲しいと祝辞をいただきました。

歌人・岡野弘彦さん

続いては大澤真幸さん。雑誌「遊」の時代から松岡に憧れ、「松岡さんは『松岡正剛』という仕事をしているとしか言い様がない」と唯一無二の活動に対する尊敬の言葉をいただきました。

社会学者・大澤真幸さん

女優の白石加代子さんはかれこれ40年前、「劇的なるものを巡って」(早稲田小劇場)という芝居の本を出版する際に松岡に出会ったそうです。

女優・白石加代子さん
「松岡さんに本を作って頂いた女優はほかにはいないと、今でも誇りに思っております」。

白石加代子さんからはサプライズのプレゼントとして一人芝居が贈られました。「おさるの日記」(和田誠作)を声色を巧みに操りながら、会場のみなさんをまたたく間に引き込みました。

百物語「おさるの日記」を朗読する白石加代子さん

◉お祝いの言葉〜パート3〜

最後のパートでは、川崎和男さん、内藤廣さん、藤本晴美さんからメッセージが贈られました。

川崎和男さんは松岡が千夜千冊で「惚れた」と書いたデザイナーです。松岡に対して男気あふれるメッセージとともに「みんなを集めて編集してくれる松岡正剛という男には長生きしてもらわなければいけない」とこれからへの期待も語っていただきました。

デザイナー・川崎和男さん

建築家の内藤廣さんは、『3・11を読む』(松岡正剛著)を日本を考えるためのガイドブックにしていることを語りました。
「仕組みだけでなく精神の問題まで語れるのは松岡さんくらいしかいません。何に祈ればいいのかをこれからも論じてほしい」と震災後の日本への思いを込めました。

建築家・内藤廣さん

これまで連塾などで何度も松岡とチームを組んできた演出家の藤本晴美さんは、松岡から贈られた手紙を紹介しながら、「松岡さんは金持ちじゃないけど、人持ちですね」。

演出家・藤本晴美さん

ここでサプライズのプレゼント。突然神輿のように担がれて会場に入ってきたのは巨大な暴走バイク。藤本さんの音頭で東組が制作したダンボール製です。

ダンボール製深層暴走バイク

これに続けと、編集工学研究所と松岡正剛事務所のスタッフが総力を結集した「番長着」を手に登場。バイクと合わせて松岡にプレゼントされました。

古稀暴走特製「本族番長着」

番長着をスタッフから贈られる松岡正剛

さらに、この場にアートディレクターの浅葉克己さんが登場し、松岡への長寿祈願として、ピンポン玉30球を会場めがけて見事にスマッシュ。みなさん一球一球大切にお持ち帰りいただきました。

卓球応援ユニフォームに身を包んだ、アートディレクターの浅葉克己さん

◉エンディング:松岡正剛×田中泯さん

これまでの祝辞と来場のみなさんへ向けて松岡から御礼の挨拶。当日更新された千夜千冊『ガルガンチュアとパンタグリュエル』に触れながら、深層で暴走するこれからについて語りました。

この日の開場寸前まで書き続けた千夜千冊について語る松岡正剛

最後はダンサーの田中泯さん。
「松岡さんに前々からやってほしいことがあった」と語り、挨拶のカーテンコールへと誘いました。

昨夏には松岡との共著『意身伝心』を出版した田中泯さん

田中泯さんに導かれて松岡正剛のよるカーテンコール

最後に、来場された皆様に松岡からのお礼品として「玄月暦」が贈られました。

おみやげとして贈られた玄月暦

松岡による「月」の書と、月にちなんだ古今東西の引用がちりばめられています。

たくさんの方々にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。ここではご紹介できなかったみなさまからも熱烈なメッセージや贈り物をいただき、松岡・スタッフ一同心より御礼申し上げます。

◆松岡正剛「人生七十暴走古来稀」発起人の皆様◆
(敬称略・五十音順)

井上鑑、江木良彦、緒方慎一郎、金子郁容、川崎和男、高山宏、田中泯、田中優子、
内藤廣、東亨、福原義春、藤本晴美、三浦史朗、美輪明宏、森村泰昌
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