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[トピックス] 2013年3月8日
[レポート]遊躍するISIS講座

イシス編集学校の講座には[守・破・離]のほかに、[守・破]を修了した学衆だけが受講できる技法研鑽コース[遊]があります。日本の定型詩と方法を合わせる「風韻講座」、物語の母型に編集術を重ねる「物語講座」の二講座です。どちらも毎期満員御礼の人気講座。期毎に行われるリアル稽古も魅力のひとつです。今回も趣向を凝らしたプログラムが用意されました。
1月と2月に行われた二つのリアル稽古の様子をレポートします。魅力の一端をご覧ください。

◇ 本の森でコトバに興じる ◇

イシス編集学校[遊]風韻講座 第十一座「小梅座」仄明書屋(2013年1月12日)

詩歌にまなび日本語をあそぶ風韻講座のリアル稽古「仄明書屋(そくみょうしょおく)」は十一回を数えます。1月12日、ゴートクジISISに移転して初のリアル稽古が「本楼」で行われました。風韻講座では毎期、座名が変わります。今期は「小梅座」と名付け
られています。座名にちなんで会場は"小梅"揃えのしつらい。運営スタッフも和の装いで連衆のみなさんをお迎えします。
プログラム第一部は句会です。ゴートクジISISの見学を兼ねての吟行後、それぞれ一句を投じ、作者名を伏せたすべての投句から「天・地・人・逆選」を選び、句評を交わしました。第二部は歌合せ形式の歌会です。三つのチームに分かれて、歌を批評する技を競います。自チームの歌は褒め、他チームの歌は論難し歌評は論破するというこのゲーム。より編集的な批評ができたチームに軍配があがります。夕食後は、ネット上で巻いた半歌仙の音読。芭蕉の発句に付けた自作の句を順番に全員が声に出して詠み上げました。第三部は「仄明書屋」初の試みとなる連句のリアル稽古。松岡校長の発
句に制限時間内でどれだけたくさん句をつなげることができるかを競い合います。目の前でコトバにコトバが連なり、さまざまに転じてゆく面白さ。大いに盛り上がりました。
合わせて競べて揃えるなかから生じる「好み」というもの、日本人が古くから工夫しながら進化させてきました。連衆それぞれの内にある日本の編集心が際立った一日でした。

玄関口「井寸房」で連衆をお出迎え。

木村学匠のナビのもと、賑々と寄り集まっての句会。

「天・地・人・逆選」の評価を加算していく。「逆選人気の作もありますね(笑)」と小池純代師範。

連衆の句を添削する松岡正剛校長「"切れ字"は日本の大発明です」。

 

おやつは手製のお汁粉。小池師範を囲んでしばし歓談。

屋内での「吟行」を終え、一人一人投句。

正直な気持ちで句を批評していく
「恨みっこなしだよ~」と松岡校長。

歌合せの結果をスコア表示 「ひ・ふ・み」の3組、相並ぶ結果。コトバの攻守の絶妙

校長も木村久美子学匠も抱腹絶倒。

連句稽古で校長が詠んだ新年の発句。
「 梅戀ふて 風の一座の なごみかな」玄月

[遊]風韻講座 第十一座〈小梅座〉の面々

◇ 文を拓いて書に綴じる ◇

イシス編集学校[遊]物語講座〈第五綴〉蒐譚場(2013年2月10日)

さまざまな編集技法をもとに物語をカタチにする手立てを学ぶ物語講座は、応用コース[破]でとりくむ創文スキルをさらに磨くための特別講座です。2月10日、こちらも新たな「本楼」の場でベテラン師範の指南のもとリアル稽古が行われました。
世界という横軸と、時間という縦軸をつなぐもの、それが物語であり、人が存在すればそこには無数の物語が潜んでいます。シナリオメイキングの技法は脚本家や小説家など、特定のプロにのみ与えられた才能では必ずしもありません。物語ることの構造モデルを把握し、そこで駆使されている編集技法を擬くエクササイズによって、誰でも創文のスキルを身につけることが可能です。物語講座では、まるで秘術のように語られている物語化のプロセスを編集的にとりだし、相互の交わし合いのなかから方法を磨いていきます。
物語講座のリアル稽古「蒐譚場」では、物語を構造的に捉えるための見方の共有、イメージからエピソードを立ち上げる方法、グループワークによりひとつの物語を生成する手立てなど、さまざまな編集稽古を行います。今回から、2万冊が置かれる「本楼」の書棚空間を存分に活用した独自のプログラムが試みられました。本を選定し、それぞれが持ち寄り、読みときながら同時に物語を生成していく作業は、あらたな「共読」スタイルを予感させるものでした。

玄関口「井寸房」で叢衆をお出迎え。

赤羽卓美綴師の基調講義「賢治をめぐる物語母型」宮沢賢治をテーマに、物語モデルを応用した読みを展開。

師範のナビのもと、「叢爪譚」のワークショップ。

編集作業中の叢衆。「本楼」から3冊ずつ選本し、手がかりになりそうなフレーズを抜粋していく。

校長や師範も見守りながら、特色のある物語がチームワークで紡がれていく。

一人一人が持ちよった3冊のキーブック。本が集い、そこに新たな意味が生じる。

今回のテーマは「日本する〇〇」各チームごとのユニークな物語タイトルを板書。

最後は、チームの代表者がシナリオを発表。応用した物語モデルを強調しながらのプレゼン。

「校長校話」では、「一册一声」の公開収録が行われた。物語の母型モデルに迫るテーマとして、1244夜『桃太郎の母』を松岡校長が朗読・解説。

最後は車座になって意見や感想を交わし合う。それぞれが得た気づきや課題の"ふりかえり"も重要な編集稽古。

[遊]物語講座〈第五綴〉の面々

競い合わせる面白さ、物語ることの愉悦。編集術の奥義にせまるこの二つの講座が、当座にかける遊び事のなかから生まれる"学び"のモデルを世に問いかけます。日本的「型」に学ぶ方法論と、構造的な解釈アプローチ、そこに場ごとの工夫や不思議な次第が加わっているのがISISならでは。「守・破・離」で磨いて[遊]で跳ぶ、編集学校をめぐる出来事は多色多彩に進化しています。

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