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[トピックス] 2013年1月9日
[レポート]「本楼」で新年をことぶく

仕事はじめの1月7日、編集工学研究所および松岡正剛事務所は、新事務所に移転してはじめての新年を迎えました。一年間の幸をいのるお屠蘇を交わし、所員ひとりひとりが新年の豊富を順番に語るのが、毎年の決まりごとです。今年は、徐々に完成形が見えてきたゴートクジビルの1F「本楼」に全スタッフが集合し、あらたな環境でとりくむそれぞれの決意を交わし合いました。

年始の冒頭で松岡は、「あらたな気持ちではじめよう。この場所でまったく新しいモデルを作ることが必要。空間を編集するとともに、この場にかかわる人々ごと編集していく意識をもちたい」と語り、4つの"WARE"(ハードウェア・ソフトウェア・ブックウェア・ヒューマンウェア)の重要性を強調しました。続いて、「一人一人が何を世に問いたいのかを熟考すべき」と野村育弘社長。安藤昭子取締役は、「日本流の経済文化とそこから生まれる価値をいまこそ突き詰めたい」と2013年の編集工学研究所の向かう先を示しました。

積み上げられた方形の升は、毎年おなじみの風物詩。

所員一人一人が新年の抱負を語る。編工研にとっての歴史的な一年のはじまり、語りにも熱がはいる。

新年の辞をのべる松岡。「型の強調が価値観となり、そこに"意味"が生じる」

年始の誓いをたてたのち、近所の六所神社に初詣。この全スタッフ総出による初詣も、編集工学研究所の26年間の歴史のなかで一度も欠かしたことのない重要な活動です。世田谷の隠れ場的な鎮守の森で、新年に望むそれぞれの想いを祈願しました。

「本楼」にもどって新年の儀はさらに続きます。後半は、スタッフとしてそれぞれが重視するべき意識のすり合わせの話題にうつりました。千夜千冊〈連環篇〉1351夜ノベルト・ボルツの『意味に餓える社会』のプリントアウトがスタッフ全員に配布され、一人一人が声を出しての共読タイム。段落が進むごとに松岡がそのつど指名し、個々の解釈レベルを確認していきます。

それまで社会を築き上げてきたモノゴトの奥にある"意味"を喪失したポストモダン的現在を危惧する本書は、編集工学研究所が今後担うべきビジョンとも深くかかわる内容です。松岡が年始の共読のテーマとしてこの一夜を選んだ真意には、スタッフ一人一人への問いかけも込められています。

「価値に転位する可能性のある"意味"こそ、編工研スタッフは問いつづけなくてはならない」という松岡の結びのサジェッション。さまざまな局面で起こるコンティンジェンシー(偶然性)を、リスクヘッジな態度によって封じるのではなく、逆にプロジェクトに活かしていく編集的なワークスタイルのあり方。時代が見失っている"意味"を問うために、編集工学研究所が進む方向をそれぞれが再確認した新年の一日でした。

六所神社の境内に参じた松岡と所員一同。今後、長い時間をともにする世田谷の土地とのかかわりを編集するのも大切な仕事。

恭しく神前に立つ松岡。

初詣での記念撮影。(六所神社の社殿前にて)

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